青い森のねぷたいブログ

青い森です。東京の某所で教職についています。教職に関することを主につぶやいていきます。

社会科とは②〜目的としての歴史教育〜

 今日は今日のやつで話をします。ご了承下さい。以下あくまでこれは自分の考えの整理なので見たい方だけどうぞ。

歴史能力検定(歴検)を取り入れる学校が増えてきた。

 「ここは入試で出るよ」

 私立履正社学園豊中中学校大阪府豊中市)の鳩岡文法教諭(49)は、社会科の授業で、この決めぜりふを8回も使った。入試は、高校の場合を指す場合も、大学の場合もあるが、熱心にノートを取るのは中学入学からまだ半年の1年生だ。

 9月29日の社会科は、地理的分野の学習で、中国が対象。一人っ子政策経済特区といった現代の課題だけでなく、漢字が日本に伝来した経緯など、歴史まで幅広い内容に触れた。

 「中学で基本をしっかり身につければ、その延長にある大学入試だって怖くないと思える」と鳩岡教諭は入試を強く意識する。その一方で、日本史をただの「暗記もの」で終わらせたくないと考えている。

 同校では授業とは別に、歴史により関心を深めてもらおうと、2003年から希望者を対象に、学校を会場として歴検を実施している。今年7月には125人が受験。うち15人は高校レベルの日本史3級に挑戦し、2人が合格した。

 その1人で、1年生の沢井秀介君(13)は、過去問を中心に1日2、3時間勉強した。「戦国時代の武将に興味がある。大学に行っても歴史の勉強をしたい」と意気込む。鳩岡教諭は「授業とは違う形で生徒のやる気を引き出すことが出来る」と歴検を評価している。



 歴検を授業で活用する公立中学もある。

 青森県三沢市立第五中学校では2005年から、3年生の選択教科で歴検対策の講座を週1コマ開いている。約40人が受講し、過去問を繰り返し解いて試験日に備える。

 中学レベルの4級でも教科書だけでは解けない問題があり、資料集で調べたり、図書室やパソコンを活用したりして学習する。3級を目指す生徒には高校の教科書も貸し出す。

 生徒が高校受験する際は、調査書にも「歴検4級取得」と書いてアピールする。社会科の太田健教諭(41)は「資格を目指して一生懸命に取り組むことが大切。主体的に学ぶ姿勢につながっている」と説明する。



 歴検は教養としての歴史の重要性を認識してもらおうと1997年、社会人対象の歴史認定試験として始まった。

 「自国の歴史の知識が足りない日本人が増えている。ビジネスで外国に行っても、世間話もできない」。電通で長年勤務してきた歴検協会の黒水恒男会長(75)は、そんな危機感を持っていた。

 面白くて、ためになる内容を目指して、作問には教科書会社の担当者や塾講師ら約20人があたり、東京大の鳥海靖名誉教授ら5人が監修している。

 1級から5級まであり、2級以上の取得者は、高卒認定試験で歴史の受験が免除される。昨年の受験者は約4万4000人。学校単位の受験者も年々増えており、1校平均では十数人だが、1回あたりの参加校は約1200校になった。

 歴検は、学校での歴史教育に刺激を与える存在になりつつある。(大垣裕)

 歴史能力検定 社会教育協会、山川出版社東京リーガルマインドが合同で7月と12月に実施している。3級以上は日本史と世界史に分かれる。学校で学ぶ内容が中心だが、現代の事柄の歴史的背景も出題される。7月の4級では、江戸時代から現代までのエネルギー資源に関する問題も出た。2級も高校級だが、3級より高度で記述問題が入る。1級は学校教育にとらわれない内容。

(2007年10月18日 読売新聞)

 再び自分のゼミの先生の話に戻ります。ゼミの先生は「究極のところ歴史やって(例えば徳川家康知って)何の意味があるの?社会科は態度認識形成である以上、そんなのやっても意味ないじゃん、歴史いらんでしょ」って言う人です。
 つまり、中学社会や高等学校の日本史において、「やらなきゃいけない」ことは分かっていても「なぜやるのか」にまで波及する人ってなかなかいません(もちろん、そんなことを語りだすと自分を否定することにもなりますからね)、でも、子どもの立場に立って考えれば「なぜやるのか?」っていうのはすごく大事な問いだと思います。



 その目的のひとつの方法として歴検を利用するという方法がある、それが今回の記事であるような気がします。子どもが「なぜ歴史をやるの?」「それはね、歴検に合格するためだよ」。そうすれば試験事やキャリアアップが何だかんだで好きな子どもたちは歴史を学ぶ「目的」を獲得して一生懸命勉強するわけです。これは、国語の時間に漢検を受けさせるための勉強をするのと原理は一緒。これも本来学校現場で知るべき漢字を学ばなきゃいけない「目的」を作っているだけです。


 もちろん、こんなのを理由にしたらうちの先生は鼻で笑うかもしれません。しかし、歴史を知る・歴史を学ぶきっかけにはなると思います。どの教科・科目も一緒ですが、何にもない状態では何にも分かりません。数学も定理や法則があって始めて問題が解けるわけだし、家庭科の料理だって、体育のスポーツだって、その作り方やボールの扱い方を知って始めてできるものです。そこから好きになってくれたら儲けものですし、嫌いになったとしてもやった証だけは残ります。


 それにぶっちゃけたところ、こういう「目的」設定は教師でも設定しやすいですしね。それで歴史が好きになれば一石二鳥ですし、生徒にとっては今や気になる内申書にも書き込めるわけだし。おいしいことばかり。ただ、それが「社会科」か、って言われると自分は少し首をかしげますけどね。



 ちなみに自分も大学1年の時に歴検受けました。日本史2級。9割も取れて見事合格。しかも早稲田大学の中にも入れたし。でも、さすがに1級を受ける気にはなりませんでしたね。