青い森のねぷたいブログ

青い森です。東京の某所で教職についています。教職に関することを主につぶやいていきます。

優れた社会科とは?

 全国社会科教育学会(通称:西の学会)の小学校実践集の本を図書館で借りてきました。
 


 学問には必ずといっていい程個人、ないしは集団の思想があり、互いが批判しあうことによって学問は進展を遂げていきます。この本は広島大学兵庫教育大学の先生が中心となって、「優れた社会科授業」とはこういうものである、という実践を集めた本です。


 端的にいうと、西の社会科は「社会認識形成を通した市民的資質の育成」を小学校でも目指しています。そのため、うちの大学や筑波大学みたいな東の社会科のような「子ども一人一人の問題解決を通した公民的資質の育成」に対して待ったをかけます。またうちの大学は子どもひとりひとりの個性を尊重し、彼らの問題意識に沿った社会科学習というのを求めています。そしてそこに生きる人びとの「思い」や「願い」にふれ、彼らに共感したり、またよりよい社会にしていくための方策を考え出していきます。


 これが主だったものなのですが、中等を出た自分からすれば実は西の社会科の考え方やアプローチの方が好きだったりします。もちろん習っている先生の影響だったり、東の思想に触れていないというのもあるのですが。例えば、産業学習ひとつをとっても100円ショップという身近なものを題材に、「あらゆる企業は利益を上げるためにコスト削減や新商品の開発といった努力や工夫を重ねている」ことを理解させています。ポイントは地域だけ、特定の産業だけにあてはまる論理だけでなく、どの産業、どの企業にもあてはまるテーゼを身近な地域を使って子どもに理解させようとしている点です。
 もちろん、ここまで来るには相当の教材研究が必要だとは思いますが、特に中学や高校ではこうした授業方法が必要だと思います。



 また、僕個人としては歴史教育なので土一揆と徳政令を題材にした法教育教材にはとても感動しました。これに関しては小学校だけでなく、中学や高校でも明日すぐ使えるような実践です。説明すると長くなってしまうのでぜひ読んでみて下さい。僕が去年高校の教育実習でやったことが理論化されて実践されているような感じです。



 社会科というのは僕みたいに専門にしていて好きであればいいと思いますが、小学校の先生には嫌いで、できれば教科書だけ読ませて無難に終わるのがいい、という人もいると思います。そういう人でも最低限でいいので、こういう実践集的なものを夏休みにでも読んでみてはいかがかなと思います。