青い森のねぷたいブログ

青い森です。東京の某所で教職についています。教職に関することを主につぶやいていきます。

ねぶた祭りを考える2020

 日記のログを調べたら、およそ7年ぶりに書くようです。

 ねぶた祭りを考える2020。今年は、新型コロナウイルス感染拡大のため、県内すべての祭りが中止となりました。青森市弘前市八戸市五所川原市も、そして、つがる市も。当然、東京の立川市羽衣地区、桜新町、中延、すべて中止です。

 そのため、今年は実家にも帰っていませんし(そもそもコロナが拡大しているから、帰ったところで顰蹙買うだけ(ビラは貼られないだろうけど))、お囃子会にも参加しないまま1年が過ぎるだろう、と予想されます。(もともと羽衣・桜新町・中延・一の江・六郷のスポット参戦でしたからね)

 というわけで、今年はねぶたとは切り離された1年を送ることになりそうです。

 

 

 それでも、青森県民はいい意味で、ねぶた「バカ」はたくさんいますので、以下のようなことが2020年には行われました。

 

小型ねぶたを自主運行/五所川原・誠和會
8/4(火) 21:44配信 

Web東奥
小型ねぶたを運行する誠和會のメンバー

 青森県五所川原市のねぶた制作・運行団体「誠和會」が4日、同市内で小型ねぶたを自主運行した。新型コロナウイルスの影響で五所川原立佞武多(たちねぷた)祭りが中止となったことを受けて企画。はやし方や引き手計約20人が約1キロを練り歩き、祭りの雰囲気を演出した。

 午後7時ごろ赤鬼を題材とした小型ねぶた(高さ約1メートル20センチ、幅約2メートル50センチ、奥行き約1メートル)が花火の合図とともに、同市下平井町の福士豆腐食堂を出発。約30分かけ同市太刀打の誠和會の作業小屋まで運行した。

 新型コロナ感染防止のため、参加者は事前に消毒や検温を徹底。人数も例年の半分ほどに抑え、小規模の運行となったが、はやし方が笛や太鼓を鳴らし「ヤッテマレ」の掛け声を夜空に響かせた。沿道にははやしの音に誘われた地域住民が集まり、写真を撮ったり、手を振ったりしていた。

 

 

 

 

 

 青森で一夜限りの祭典「ナヌカ日ねぶた」


 来年の祭り開催と新型コロナウイルス収束へ願いを込め、一夜限りの大型ねぶたの祭典-。青森市民を対象としたねぶた展示イベント「ナヌカ日ねぶた」が7日、同市の青い海公園で行われ、親子連れら4千人がねぶたを眺め、囃子(はやし)の音色を楽しみながら、今年は中止となってしまった青森ねぶた祭の雰囲気を堪能した

 

 

 こうやってみると、ねぶたが地域に還ったな、というのが印象です。

 もともとこの「ねぶた祭を考える」シリーズで自分が主張していることは、

 

 ねぶたは観光客のための祭りではない

 

 ということです。

 本来、祭りとは、地域の農耕祭祀の一環として行われるものであり、ねぶたやねぷたも、もともとは、旧暦の七夕のねぶり流しや、夏の農閑期の「眠気」を払うために行われていたものであり、ねぶたを「流す」とで、邪気を流し、秋の豊作を祈るためのものでした。

 

 それがいつしか、農業人口の減少と、観光化の進展、さらには交通の発達にともなって、祭りはいつしか観光資源となっていきます。現在の青森ねぶた祭りとなったのは、国鉄周遊きっぷを販売する過程で、東北三大祭りにねぶたが指定された、昭和33年(1958年)からです。(ちなみにこの辺は、中学校の地理の教科書にも書いてあります)

 

 

 つまり、ねぶた祭りは、観光とセットなのであり、毎年250万人近い人々がこのねぶた祭りに参加します。当然億単位のお金が発生する一大イベントなわけです。

 そんな中、2000年代以降に急速に観光化していったのが、五所川原市立佞武多です。もともと明治時代に作られていた、縦に大きな佞武多を、1996年に復元。98年には街を整備して、市内運行を実現。以来、毎年のように新作を作っていきました。

 当然、立佞武多も観光とセットですので、運行コースの指定、衣装の指定、カラスハネトの規制など、だんだんとルールが追加・整備されていきました。観光化の上ではやむを得ないのですが、本来、地元の人が楽しむという観点ではどうなの、というのはこれまで何度も主張してきた通りです。

 

 

 それが、例えばナヌカ日として、花火とセットで一部の人ではあるけど、青森市民が見られるようにする、運行団体が独自で町内を練り歩く、これはまさに、ねぶたが地域に戻った瞬間でしょう。

 祭りとは、本来、「その地域に住んでいる人のための」祭りであるべきだと自分は思っています。だからこそ、例えばつがる市のように、合同運行とは別に、町内で運行する、そんなことがあってもよいのではないでしょうか。

 

 

 

 コロナウイルスの問題は、グローバル化した現在においては、それと逆行するような現象を生んでいます。当然そこには、他者を排するというマイナスの側面を有する場合もあります(今回の青森市のビラの件がまさにそれでしょう)。

 でもそれは、逆に「ローカル」を見直す機会にもなります。ねぶたが地域の祭りに戻るチャンスでもあります。それが今回の事例なのかな、と感じています。

 それに5Gの世の中ですから、今はネットで見ることもできます。実際、五所川原の運行を自分は東京で見ていましたよ。

 

 

 2021年、ねぶたはどのような形での開催になるのか。おそらく今までどおり、とはいかないでしょう。感染拡大の状況によっては、青森県民だけの参加、になるかもしれません。とにかくこれまでの祭りとは異なる形が求められます。その時に大切なことは、「祭りは誰のためのものなのか」です。