青い森のねぷたいブログ

青い森です。東京の某所で教職についています。教職に関することを主につぶやいていきます。

3月に買った本②

 

  バートンとレヴィスティックの「Doing History」の抄訳本。すでに「コモングッドのための歴史教育」が翻訳されていますが、その趣旨がこの本にも生かされています。

 バートンとレヴィスティックのポイントは、「何のために歴史を学ぶのか」(aim talk)の重要性である。その答えは、細かな知識の羅列ではなく、歴史学的手法を学ぶことでもなく、「多元的民主主義の実現のために」歴史を学ぶことが重要であると指摘します。

 その上で、過去に対しては「アイデンティティ」「価値判断」「分析探究」「情報発信」という過去に対する4つのスタンス(心構え)にがあることも述べます。

 さらにこの本では、「三つのキーとなる問い」(人間と環境、他の人間との相互作用、人間と考え)、「七つのキーとなるテーマ」(人口、経済、権力関係の変化、富の偏在、自己表現、科学技術と環境、精神生活と道徳)が示されており、この辺りも参考になるのではないか、と思います。

 具体的な実践部分にフィーチャーした抄訳本であるということを理解しつつも、それでも「Doing History」として、歴史は「何のために学ぶのか」を、教える側も、生徒自身も、常に考えていけるような、そんな授業にしたいところです。

 

 

 

 

アクティブ・ラーニング実践集 地理

アクティブ・ラーニング実践集 地理

  • 発売日: 2021/03/30
  • メディア: 単行本
 

  これから読みます。

 

アクティブ・ラーニング実践集 近代・現代

アクティブ・ラーニング実践集 近代・現代

  • 発売日: 2021/03/30
  • メディア: 単行本
 

  「歴史総合」がどんなものなのか、は教科書が出ていないのではっきりしていません。しかし、指導要領は示されているので、「きっとこんなかな?」という形で、具体的実践例が示されているのが、上の本です。

 基本的には、アクティブ・ラーニングが推奨されていた頃に行われていた、KP法や「学び合い」が母体となってはいますが、今回は、「単元を貫く問い」など、具体的な授業風景や、実際の生徒の「答え」(個人的には「回答」だと思うけど)も示されており、授業がイメージしやすくなっています。

 ここで注目すべきポイントは、実践の一部が中等教育学校の前期課程、つまり中学生の歴史的分野を利用して授業の具体案を提示していることです。

 これは、現状三度やる歴史の授業の中で、実は、中学校の歴史的分野が、内容的にも、カリキュラム的にも、歴史総合とかぶる部分が多いことを間接的に示唆しています。

 そうなってくると、歴史総合でやる内容は、ぶっちゃけ中学校でもできちゃうわけで、だからこそ、歴史的分野と歴史総合は何が違うのか、をはっきりと選別する必要があると思います。

 ただし、教える内容・事実の量では絶対にあってはいけない。

 個人的に歴史総合は、「世界史の視点から」構成されるべきであると思うし、そうでなければ、ぶっちゃけ中学の歴史と変わらないじゃん、ということになります。

 でも自分は、世界史は専門ではないので、どうしてもその視点で授業をすることはできない。そうした日本史マターの人が、どうやって世界史的視野でやっていくことができるのか、その辺りを1年かけて学んでいきたいと思います。

 

 さしあたって現在、社会科の費用で買った下の漫画を読みながら、勉強しています。この本を読むと、やっぱり日本史の描き方が全然違うことが分かります。

 (特に、第二次世界大戦が、20世紀的な超国家構想VS19世紀的な植民地拡張主義の国同士の対立なんだ、というのは、世界史を見ないと分からないことですよね。マンガでその辺りがある程度、理解できるようになっています。また、19世紀後半に近代化していった日本を、中国や東南アジアといった国々がどうとらえていたか、その辺りも世界史から見ると、日本の見方がガラッと変わりますよね)

 

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