青い森のねぷたいブログ

青い森です。東京の某所で教職についています。教職に関することを主につぶやいていきます。

PISAの学力調査結果について

 PISAの学力調査結果が発表になって、日本は全ての分野で国際的に学力が低下した事実が指摘されています。また今年の全国学力テストでは秋田県など東北地方がとりわけ上位に食い込んでいるという事実があります。そして韓国がPISAの調査で読解力1位などの成果を挙げています。
 東北地方と韓国の共通点は何か。それは勉強(基礎学力の定着)を強制されていることです。韓国は受験競争が過熱であるというお国柄、読書をする=得点力アップ=大学合格と結びついており、読書は半ば打算的に行われているように思えます。一方で東北地方も少人数での指導クラスの導入など、積極的な学力向上を図っています。
 やはり勉強は「強制」されなくてはいけないもの・・・・・・・なのでしょうか?
 それが嫌で問題解決学習を掲げてもっと子どもの自主性を、って叫んだはずなのではないでしょうか。


 もちろんやり方に大きな欠陥があったことは指摘しなくてはいけないと思います。大学院入試の時に考えたことなんですが、やっぱり問題解決学習をするにあたっても、その前提となる知識がないと子どもは何にも考えないと思います。考えたとしても、それは子どもが子どもの考え得る範囲での問題であって、現実ではどうしても解明できないような高次なレベルでの問題解決とはなり得ません。もちろん、それを避けるようにして問題解決学習をうまく取り入れて「総合的な学習の時間」を成功させている学校もあります。それは小学校にきっと多いことでしょう。しかし、中学校ではそれでは不満だらけです。やっぱり考えるにあたってはその前提となる知識が必要不可欠だと、自分もそうだし、他の中高の先生は考えているからです。




 自分はPISAが求めている学力というのは単純にいえば「応用力」だと思います。応用力を得るためにはひとくせもふたくせもある問題と向き合う必要があります。例えば二酸化炭素のグラフと気温上昇のグラフを対応させて述べる問題、また、数学の問題には円高・円安の概念を使って解く問題も出題されていました。こうしたグラフ等の問題は十分社会科でも身につけることができる知識だと思います。
 では「応用力」をつけるにはどうしたらいいか。それは知らないことを知るような活動を取り入れることです。社会科教育の用語でいえばいわゆる問答法と呼ばれる手法でもって授業を展開していくことです。歴史はどうかは分かりませんが、少なくとも地理や公民ではこの手法は応用できると思います。そして扱うテーマは世界であっても導入は子どもにとって身近であるものがいいでしょう。それは「地域」に固執する必要は全くありません。本当に身近にあるものでいいのです。例えば自分が大学院入試のために作った指導案では、「とうもろこしが地球を救う?」というのを作りました。ほら、この地点で「何でだろう?」って思いませんか?ちょっと考えてみたい気になりませんか?


 「応用力」とは「考える力」のことです。疑問を持つことです。そしてその問題を解決して分かることです。つまり、PISA学力低下が今の学習指導要領批判に結びつく議論というのはいささか短絡的だということです。でも、本当にPISAで一位になりたいのなら、私は勉強を「強制」させることをおすすめします。国際的な体裁を保つ反面、その実験台のような存在となる彼ら(子ども)の人生を保証できるのであれば…の話ですが。