青い森のねぷたいブログ

青い森です。東京の某所で教職についています。教職に関することを主につぶやいていきます。

京都を振り返る1〜滋賀大学での学会〜

 今回京都でお世話になる一番の理由が、日本社会科教育学会の学会参加でした。
 というのも、通称「東の学会」と呼ばれ、10年ぐらい前まではうちの大学に事務局を構えているぐらい関わりの深い学会。
 なのに、「参加しろ」とも言われず、完全に任意。そのため、学会参加のための援助など全く出ず、その上院生向けの大学からの資金援助は6月で受付を終了していたし、雀の涙にもならない額なので、出たら確実に自腹を切らねばならないという閑散たる状況。
 だから、今回の京都滞在はありがたかったですね。しかも、大学のある石山までは1時間で行けたというのも大きかった。


 mixiにも大まかには書いたのですが、結論としては行ってよかったな、と。初日は歴史教育界では知らない人はいないという加藤公明先生の実践報告が聞けたり、2日目は課題研究のパネリストにシティズンシップ教育の第一人者、筑波大の唐木先生と、東大の小玉先生も。社会科の学会というものを肌で感じることができました。


 と同時に、普段は広島大学系の思想を強く受けているため、東の学会を客観的に分析することもできました。
 まず、実践報告が多い!実践報告をすること自体は社会科教育の学会なので別にいいのですが、何か独善的というか、「僕はこれをしました!」っていう発表会だったっていうか。だから、特に質問したいこともなく、「へえ〜、そうなんだ」っていう感じでした。


 次に話が長い!一応制限時間は20分なのですが、20分以内に終わった現職の先生はほとんどおらず、だいたい一言か二言追加して、もう5分が経つ、みたいな感じで。その結果質疑応答の10分がどんどん減らされていく。まあ、質問自体もあまり挙がらないから発表時間を長くしてもいいとは思いますが。
 現職の先生で、院に来ている方も、「手短に=10分」っていう人が多いので、教師というのはそういう生き物なのかな、ということを感じました。


 特に露骨に「これぞ東!」と感じたのは、シンポジウムでかなり年配で小学校の先生経験のある教授が、言いたいときに好き勝手に割り込んできて、話す話が、還暦の時に当時の児童と座談会をした話、っていう「思い」と「願い」と「感動」がつまった素晴らしい話をして、みんな失笑していたのが特によかったです。



 そんな中、自分が特に東と西の違いを強く痛感したのが、2日目の自由報告。佐賀大学の院生が状況論的アプローチという、まあぶっちゃけ佐賀大の社会科教育の先生が掲げている理論の生き写しというか、改良版を理論にして、佐賀のまちづくりに関する授業案を提供した報告。研究方法が先行実践を批判するなど、レジュメの作りが完全に「西」だったので、自分は興味深く聞いていたのですが、質疑応答の際に、


「まちづくりに関することなのに、地域に出ないんですか?」


「子ども発達段階を考えると、地域に出て「生」の声を聞くことが大事だと私は考えます」


(キター、「まちづくりはとにかく地域へ出ろ」思想キター)


さらに、それに関連して、


佐賀市のマスタープランだけで授業を作っているのはよくない。結果、授業案として焦点がぼやけている」


(キター、西の思想をボロカスに)


 などと、手厳しい意見(批判)を浴びせられていました。


 僕はここにきてようやく「学会」っていうものの姿を見たような気がしました。と同時に、「まちづくり」に関することだけでも、「東」と「西」の思想の違いや、アプローチの違いなど、その30分に凝縮されているようでした。佐賀大の院生の方も現職の小学校の先生なのですが、同じ小学校の先生でも、つく社会科教育の先生によって全くアプローチを異にしていたのが、印象的でした。



 結論としては、東は実践重視、西は理論重視、っていうことが強く感じられました。と同時に、東は現状肯定、西は現状批判、ということも感じました。



 あ、最後に。この学会で僕は「歴史教育」と「シティズンシップ教育」の2つを主に見ていたのですが、「シティズンシップ」、要は社会科の最終目標である、「アクティブシティズンシップ」(学んだことを実際に行動に移す)のためには、その前提段階として「知識を得ること」、そして「その知識を活用して、みんなで問題を考えていくこと」が必要であり、この問題解決的行動が身につけば、小学生なら自然と行動してみたくなるのだということを感じました。
 だからこそ、どの成長段階であっても、知識の出し惜しみをすることなく、子どもに「教える」だけでなく、ともに「学んで」いく姿勢が大事だと感じました。



 いやあ、当初は行くのを迷っていたのですが、行ってよかったです。この経験を糧に、明日から頑張って修論に励みたいと思います。