青い森のねぷたいブログ

青い森です。東京の某所で教職についています。教職に関することを主につぶやいていきます。

学力調査の結果が出ましたね。

 こればっかりは言いたいことがあるので真面目に書きます。以下、興味のある方だけどうぞ。


 今回も小学校の1位は秋田、中学校の1位は福井。そして青森も小中ともに平均より上で、上位層に入っている結果でした。
 そして下位は沖縄や大阪。これに各自治体は一喜一憂をしているわけです。
 その上、某栄光ゼミナールは広告に「秋田に学べ」とまで銘打ったわけです。


 その要因はいろいろあるとは思いますが、一番の要因には少人数指導と開かれた学校の2つの政策が大きいといわれています。
 少人数指導は、うちの高校みたいにできるチームとできないチームにクラスを二分して指導すること、開かれた学校というのは、僕が中学校にボランティアに行っているように、地域の方が中に入って先生が何人もいるような状態。
 この2つが秋田での成績上昇の理由だということです。
 

 さらに、中学校1位の福井では、70分授業を導入することで、生徒に考えさせる時間が増えるため、教師も生徒に考えさせる時間を与えるような工夫ある授業ができるらしいです。何度か45分は50分を教えてみた身から言えば、生徒に意見を言わせたり、考えさせたりする授業にすると、確かに50分じゃ足りないです。


 ただこのやり方もケースバイケースであることを注意しなくちゃいけないと思います。特に70分授業は、そういう活動させるのが上手い先生ならいいですが、ひたすら問題を解かせるのならば苦痛が増えるだけです。そういうのであれば僕は45分なり50分なりにすべきだと思います。


 さらに、成績上位の県はほとんどが日本海側、というか子供の数が減少している自治体です。関東や近畿では採用枠は増えつつありますが、それ以外は学校数の減少とともに教師の採用数も減少傾向にあります。ということは、必然的に対生徒あたりの教師の数も秋田や福井の方が多いはずなんです。


 また、国民所得が少ない国ほど立身出世主義(=勉強が全て)という思想が強いように、日本でも地方の所得が少なく、娯楽が少ない地域ほど立身出世主義(=勉強は身を立てるのだ)という思想は強いのです。それは、僕が通っていた高校がその典型です。僕の実習時代お世話になった日本史の先生はそうでもなかったですが、僕に数学を教えてくれたH先生なんかは、その典型です。
 僕は勉強をすることは大好きだったので、「点数がとれる」「分かりやすい」授業でなきゃ先生を信頼しない高校生だったので、その先生のおかげで数学が好きになれたのですが、外に出て客観的にみると、本当に学歴というか、進学にかぶれている様がありありと見えてきます。


 それに、秋田は小中は強くても、高校のレベルはそうでもないらしいです。これはもはや高校では少人数とか、学校開放とか、そういうことを無視した徹底した大学進学教育がおこなわれていること、もっといえば小中の頃からそれがおこなわれていることを如実に表しています。


 だから、娯楽がなく、立身出世の思想が強いのだから、点数がいいのは当たり前。彼らの目的は「点数を上げて、いい高校や、いい大学に入れるため」だもん。


 もちろん、そのためだけにやっているというわけではないと思います。が、地方出身の僕の経験則からして、多かれ少なかれその気はあります。これは、間違いないです。





 さて、これまでは教師側から見てきましたが、半ばモルモットにされている生徒の側からしたらどうなんでしょうか。僕は、こういうのは嫌いじゃなかったのでその軌道に乗って自分の行きたい大学、行きたい道に進むことはできましたが、世の中勉強が好きなやつばかりじゃありません。模試の1時間や2時間を何も書かずに寝たり、変なことを書いたりして過ごす人だっているんです。そんなやつは、「落ちこぼれ」なんでしょうか。また、日本の基礎学力が下がってきているからといって、彼らは「バカ」で「ダメ」なやつで、これは日本としては憂うべき状況なのでしょうか。


 それは半分は当たっています。でも、半分は外れています。今は「バカ」でも羞恥心でも売れる時代です。社会には社会の、学校には学校の、芸能界には芸能界のルールがあります。「バカ」や羞恥心とかは、学歴社会のルールでははみ出し者で、落ちこぼれですが、芸能界のルールでは大正解です。100点満点です。
 社会科の教師としていいたいこと、それは、世の中には多種多様なルールがあることです。憲法や法律だけがルールではありません。憲法や法律は万人が自由に暮らすためのルールでしかありません。道徳だってルールの一つでしかありません。そして残念ながら学校には学校のルールがあります。点数のとれるやつが褒められて、とれないやつが怒られる、これが学校のルールです。


 さあ、あなたはこのルールに従順になりますか?それとも逆らいますか?逆らうのなら、逆らうなりの理由をつける、これがルールを変えていく、自分の道をつくる方法です。僕は僕が納得するようなきちんと理由をつけて刃向かうのなら、それを応援できるような先生になりたいです。それが生徒にとって社会で「生きる」ということだから。


 ああ、何か理想論を語ってしまったなあ。現実僕にはこれができる自信はないなあ。でも、このぐらいの覚悟で授業をしていきたいなあ。もちろん学力も大切にしながら、これって欲張りかしら。