青い森のねぷたいブログ

青い森です。東京の某所で教職についています。教職に関することを主につぶやいていきます。

社会科とは⑤〜世界史は地理とつながる〜

世界史を略地図で身近に感じさせる教師がいる。

 「5秒でノートに略地図を描いてください」

 千葉県立国分(こくぶん)高校(市川市)の棚沢文貴教諭(48)は、生徒にそう指示すると、自身もまず、黒板に赤いチョークで横線を、黄色いチョークで縦線を引いた。赤は赤道、黄色は本初(グリニッジ)子午線。その後は、ユーラシア、アメリカ、アフリカの大陸を一筆で描いていく。完成まで、確かに5秒ほどだった。

 「自分で描くと、人の動きや国の位置関係がよく分かるので、先生の話が理解しやすい」と女子生徒。ほかの生徒も慣れた様子だ。

 先月6日に行われた世界史の授業は「新大陸」がテーマだった。略地図描きは、ベーリング海峡が陸続きだった時代に人がアメリカ大陸に移動していく経路や、コロンブスアメリカ大陸到達の経路を説明する際に活用された。

 高校の学習指導要領で、略地図の活用を促している科目は地理だが、棚沢教諭は「世界史も1枚の地図から考えることができる」と、その有効性を強調する。略地図の活用は新任のころから。地理の先輩教員が描いているのを参考に改良していった。

 1学期の最初の授業では毎年、何も見ないで生徒たちに世界地図を描かせる。アフリカ大陸がない、東南アジア、中東、南米があいまい……。いびつな世界地図ができあがる。略地図は、中学の社会科で学ぶことになっているが、棚沢教諭によると「年々地図が描けない生徒が増えている」。



 大学時代、探検部に所属して35か国を旅した。教員になってからも独身時代、夏休みを利用して海外を回り、これまでに計95か国を訪れている。

 授業では様々な小道具を使う。例えば、遺跡の絵が描かれたメキシコの紙幣に絵はがき、現地の土産物店で買った石像のレプリカ。紀元前から巨大ピラミッドを造ったメキシコのテオティワカン文明の話をする時は「観光客も登ることができますが、標高二千何百メートルあるので息が切れます」と体験談を織り交ぜる。

 学校近くのスーパーで買ったトウモロコシを示し、「実の数は何粒?」。中南米原産の野菜が、20粒ほどの野生種から数千年かけて約700粒まで品種改良されてきた歴史を説明する。「新大陸の農作物がなかったら、僕たちの食卓も相当味気ないものになっていたはず」

 イスラムの礼拝服を着たり、中国の人民帽をかぶって義勇軍行進曲を歌ってみせたり。教える内容が教科書からはみ出してでも、生徒の興味をかき立てるような授業をしたいと考えている。授業中、うつむいていた生徒の顔がむくっと上がれば、内心ほくそ笑む。

 受験対策の補習もするが、「生徒なりのものの見方、世界観を作ってほしい」。「英語を話すことが出来ても、世界観もなく、語る内容がなければ意味がない。受験では傍流だが、世界史は大事な科目」と考えている。(大垣裕、写真も)

 略地図 現行の学習指導要領では、中学社会科の地理的分野で「国名については、生徒の既得知識を踏まえ更に拡充が図れるよう配慮し、大まかに世界地図を描けるようにすること」と明記している。高校地理では「地球儀と世界地図との比較、略地図の描図などを通して、地球表面の大陸と海洋の形状や各国の位置関係、方位、時差及び日本の位置と領域などについてとらえさせる」とある。

(2007年10月17日 読売新聞)

 本当は①の次にこれが来るはずなのですが、ちょっと順番がずれてしまいました。毎週火曜〜土曜が教育ルネサンスなので今日はお休み。だから今日書きます。


 ①では何を書いたか、っていうと「地図は社会科の基本である」ということを書きました。特に近年では歴史学においても「交流」や「ネットワーク」という言葉が非常に流行していることからもそれはうかがえます。
 しかし、「世界地図」や「日本地図」を描けない、描けないだけでなく国名や都道府県名が分からない、そういう現状があるのもまた事実です。『バカの日本地図』や『バカの世界地図』なんていう本が出されるのはそれを皮肉っているのだと思います。

バカ日本地図―全国のバカが考えた脳内列島MAP

バカ日本地図―全国のバカが考えた脳内列島MAP

バカ世界地図 -全世界のバカが考えた脳内ワールドマップ-

バカ世界地図 -全世界のバカが考えた脳内ワールドマップ-



 こういう現状を見ると地理学習においては最低限の必要な知識の中に「都道府県名」と「国名」というのがリストアップされてくると思います。だから自分は「地図を描く」「国名や都道府県名を覚える」という活動だけはテストをしてでも覚えさせなければいけない知識だと考えています。


 特に「地図」は「世界史」とリンクします。また、多くの高等学校(主に進学校ではない学校)では地理歴史は「世界史」と「地理」の2つを履修する学校が多い。これは内容がリンクするからだと思います。特に「地理」は「地理」と銘打っていますが、ぶっちゃけたところ「世界地理」の学習です。だからこそ「世界地図」を知らなければならない。それは世界史でも同様です。つまるところ、「地図」を制する者は高校の地歴を制す、そんな感じでしょうか。


 悔しいけど自分が高校の先生になったときにはここがネックになってきます。そこは努力するしかないのでしょうね。