青い森のねぷたいブログ

青い森です。東京の某所で教職についています。教職に関することを主につぶやいていきます。

 昨日は、今年で3年目になったOB研究会でした。今年は自分たちが学会発表することもあり、ゼミの先生が色々なところへ働きかけをし、何と他大学(岡山大学)の院生まで来てくださり、発表をしてくださいました。
 以下、今年の発表内容の概要です。


 プレ発表:学生による模擬授業


 「東南アジアの発展とアフリカの貧困」についての模擬授業でした。東南アジアとアフリカは、1960年頃まではいずれも植民地支配を受けたり、貧困だったりしていたわけですが、それが今は東南アジアは経済発展を遂げ、一方、アフリカはほとんどの国が貧困から脱却できていない、これはなぜか、という主発問でした。
 その中でも授業部分は、東南アジアの発展について触れていました。つまるところ、工業立地に有利な海沿いであり、外国からの支援が得られやすいこと、長期安定政権によって計画経済が実行できたこと、70年代までは援助に頼っていた部分が多かったこと、などがその理由でしょうか。
 授業内容自体はかなり難しい内容ですが、個人的には資料を改変すればやれないことはないかな、と思いました。
 まあ、指摘の部分ではやっぱりもう少し授業っぽくやってほしかったというのはありましたが、学部3年生だからそこらへんは、ね。





 発表? 社会科教育実践研究におけるパフォーマンス評価法導入の意義−議論の評価の実践を通して−


 現在、筑波大学の大学院生の発表でした。ざっくりいうと、例えば、論文(あるいは論述)や生徒の発言・作品などを評価する時ほど、テストとは違い、客観的な評価がしにくいもの。そこで、あらかじめ評価方法を提示し、それに基づいて授業を行っていくというやり方が盛んに行われています。こうした時の評価のあり方を「パフォーマンス評価」などと言ったりするわけですが、その評価法を導入することの意義について語り、ひいてはこれを導入することにより、教員の授業の見直しにも役立つのではないか、といった意欲的なものでした。



 ただ、根本的な批判が多かったですね。例えば、「議論学習」における評価方法が「○○の意見を踏まえて発言できた」などの形式的なものに陥っていること、形式的なものであるならば、内容が社会科である必要はないのではないか、という批判ですね。これは確かにあります。
 また、評価するのは大変で、現場では難しいよね。研究者が入り込んで逐語記録をとり、それで評価できるならいいけど、そんな時間はないし、といった批判。これも一理あるかな、と。
 



 僕個人の感想としては、パフォーマンス評価を議論学習にまで拡大して考えたという点では意欲的だと思うけど、やっぱり限界があるな、と。例えば、探求主義的な社会科を行い、後で「分かりやすく説明してごらん」とか、「レポートを書いてごらん」とやり、そこでルーブリックを明確化したりすれば内容の保障はできるだろうけど、議論学習の、それも発言の部分をピックアップして評価するのは、やっぱり無理があるし、評価しづらいよね。だとしたら、多分僕みたいな、何も言わない人間は、評価が下がるよね。
 それと、発言をピックアップするやり方は、どうしても「社会科のオリジナリティ」になりえないという問題点がやっぱりつきまとね。例えば小学校の先生に「座席表」というやり方をとる先生がいるけど、あんなんでもいいもんね。
 後は、それが教師の授業の振り返りにつながる、っていうのも気持ちはわかるけど、ちょっと冒険しすぎかなと。




 パフォーマンス評価って実際に行う段階になると、とたんに教科横断的(理科でも社会でも国語でもOK)になるから、そこは注意しないとね。






発表? 社会科における学力形成と学習方略使用−高等学校地理歴史科(日本史A)の学習を事例に−

 これが自分が参加している共同研究。理論の部分は、もうひとりの方がやってくれているので、自分はその素材提供というか、調査対象校として携わっています。
 研究概要としては、生徒に対して学習方略や学習意欲に関する質問紙調査を行い、それと学力(ここでは単純にテストの点数とする)との相関を見るというもの。
 結論としては、従来テストでいい点数を取るためには、「社会科を好きにさせる」ことに力点がおかれがちだが、そことの相関はなく、むしろ「全体像を把握する」「自分なりに知識を獲得する」「自分の学習を振り返りながら学習する」などの学習方略と高い相関がみられた。また、勤務校に限ったことかもしれないが、「ノートをきれいにとる」などのノートテイキングとの相関が少なかったことも意外だった。



 この研究も、教育心理学を利用した研究なので、「社会科オリジナルか」と言われれば、「?」だが、社会科教育研究において、従来、生徒の様子をきちんと分析し、その上でどんな授業をしていくのがよいのか、という下からの視点はほとんどないため、その点ではかなりオリジナリティの高い研究だといえます。



 まあ、自分にとってもいろんなことが理解できてよかったです。やっぱり見通しをきちんと立てている生徒ほど、テストの点数は高い、ということは、学習方略に注目することで、生徒のテストの点数(学力)をあげることになるのかな、と感じましたね。




 残りは明日にでも。