青い森のねぷたいブログ

青い森です。東京の某所で教職についています。教職に関することを主につぶやいていきます。

社会系教科教育学会の感想4〜「すごい!」編

 これで最後にします。
 ここでは、社会系の聞いた中で一番(というかやっぱり)すごい発表だったものを紹介します。
 「多元的な教科観・段階的な目標設定に開かれたモデル地理教科書の開発―教師のゲートキーピング力の解明に向けて―」です。



 これは、広島大学の草原先生が、大学院生とともに発表していましたが、やっぱりすごかった。
 具体的には、
 日本は学習指導要領という厳然的な目標・内容が存在するものの、行われている授業は教師や目の前にいる生徒の状況によって全く異なる。現に自分だって教えている内容は一緒だが、生徒の反応によっては板書の順番を替えたり、補足する雑談の内容を替えたりしている。そんな概念を、ここではソーントンの言葉を借りて「ゲートキーピング」と呼んでいる。


 ただしこの報告の関心は、僕が今挙げたような環境的な要因の分析ではなく、「本来、教師はどのような意思決定が可能であり、潜在的な能力を有しているか/いないかを捉える」ことにある。


 そのためにここでは、広島大学の大学院生が、見開き1時間換算で約40時間を要するモデル教科書(ここでは、中学校地理的分野「アジア」)を開発し、それを中学校の先生に、「3〜5時間で教えてください」と依頼する。当然、教師は取捨選択を迫られるため、何を中心に教えたのかの差が出る。その差を分析し、教師に隠れている「ゲートキーピング力」とでもいうべき能力を分析しようという考え方である。




 かつて自分が大学院1年の時、社会科教育の先生(W先生)の研究の一助として、「法教育」という授業の際に行った授業が、その授業を作成した大学院生の専門によって、授業内容や授業方法、さらには指導案の書き方まで異なるんだよということを報告したことがあるけど、これは、現場にまで踏み込んで、さらなる授業観や指導観の解明を図ろうとしている。まさに草原先生版の教員養成論、教師教育論とでもいうべき研究だろう。




 大学院時代に、教員養成論や教師教育論については、W先生から色々と話を聞いていた自分としては、「すごいな」と思って、興奮を抑えながら聞いていました。



 それと、自分だったらこれをどう扱うかな、と考えてしまいました。たまたまテストの後、たまたま3時間余っているクラスがあるから、ちょっとやってみようかな、とも思っています。
 まあ、僕だったら難しいけど、個人的に趣味でやるんだったら、「韓国」だけを取り上げて、「LG」や「サムスン」の話をして、自由貿易のメリットとデメリットの話をして、今話題の「TPP」の話をして、日本の未来は!?ってやるかな。そうすれば、その余っているクラスの一部は、なんとなくついてくる気がするな。
 ただ、地理っていう側面を重視するんだったら、3地域それぞれ取り上げて1時間ずつ教えるかな。それじゃ面白くないから、自分は上をやりそうだけど。



 いずれにしても、おみやげでその教材をもらってきちゃったので、それをいずれは活用してがっつり地理で使おうと思います。来年度、僕は地理を持たないのが残念でしょうがないけど。









 というわけで、社会系教科教育学会はとても楽しかったです。いい気分転換になりましたし、自分に「社会科頑張ろう」という炎を燃えたぎらせてくれました。今年は、学会発表も目指しているので、それに向けて、今年はまた新たなチャレンジをしながら社会科を頑張っていこうと思います。